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介護保険制度の仕組みをわかりやすくまとめてみた
皆さんは介護保険制度という言葉を聞いたことがありますか?
介護保険制度は介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みで、一定の費用を給付してくれます。
自分の老後や家族を介護することになった際に、サポートしてくれる心強い存在ですね。
「自分にはあまり関係ないかな~」「両親はまだ元気だから大丈夫」と考えている方はいませんか?
しかし、どのタイミングで身近な人に介護が必要になるのかわかりませんので、介護保険制度は高齢者の暮らしを支える貴重な財源になります。
以下では、介護保険制度の仕組みについて知っておきたい3つの特徴をまとめてみました。
- 介護保険を利用する方の自立支援を目指す
- 利用者が自ら選択してサービスを受けられる
- 給付と負担の関係が明確である社会保険方式を採用する
介護保険は、単純に高齢者の身の回りの世話をするためだけに作られたわけではありません。
「自立支援」「利用者本位」「社会保険方式」の3つの柱を基本にして、全ての高齢者が人間としての尊厳を保って自立した生活を送れるように地域社会が一丸になって支え合いながら介護サービスの充実を目指します。
介護保険制度の対象者は?
介護保険制度の対象者は、次の2つに大きくわけられます。
- 65歳以上の方(第1号被保険者):市町村の住民のうち65歳以上で、常に介護が必要な要介護状態や一定の支援が必要な要支援状態の場合は、原因を問わず介護保険サービスを利用できる
- 40歳から64歳までの方(第2号被保険者):老化に伴う特定疫病による障害で要介護や要支援状態になった40歳~64歳までの人は、介護保険サービスを受けられる
「介護保険制度を利用できるのは高齢者だけだ」とイメージしている方はいませんか?
しかし、下記の特定疫病による障害で介護が必要になった時は、40歳~64歳の人でも介護保険サービスを受けられますよ。
- ガン(医師が一般に認められている医学的知見に基づいて回復の見込みがない状態)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 初老期における認知症
- パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症)
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症)
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節や股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
わかりやすく説明すると、第1号被保険者も第2号被保険者も介護保険制度によって身体の状況が悪いほど手厚い介護サービスを受けられる仕組みです。
寝たきりになってしまった高齢者には介護サービス、日常生活の支援が必要な方には介護予防サービスと違いがあります。
介護保険料の支払いは何歳から?
40歳になると、介護保険への加入が義務付けられます。
たとえ介護保険サービスが受けられる年齢になっても、介護保険料を支払い続けないといけません。
つまり、介護保険料の支払いは40歳から死亡するまでで、支払い方法は次のように第1号被保険者と第2号被保険者で違いがあります。
- 65歳以上の第1号被保険者は、原則的に年金から保険料が天引きされて市区町村が徴収する
- 40歳~64歳の第2号被保険者は、加入している健康保険と一緒に保険料が徴収される
40歳以上の方は64歳になるまで、健康保険の一部として介護保険料を納めていました。
65歳になると健康保険と切り離されて介護保険料という名目で徴収されるため、「なぜ保険料の支払いの負担が増えるのか?」と慌てる方は少なくありません。
介護保険で受けられるサービス
介護保険で受けられるサービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3つに大きくわけられます。
それぞれがどのような介護サービスなのか見ていきましょう。
・介護福祉士や訪問看護員が自宅を訪問して日常生活のサポートを行う訪問介護
・デイサービスセンターで利用者が介護サービスを受ける通所介護
・利用者が短期間施設に入居して介護サービスを受けるショートステイ
・特定施設(ケアハウスなどの有料老人ホーム)への入居
・病状が安定している方が医療ケアやリハビリを受けて在宅での介護を目指す介護老人保健施設
・身体や精神上の問題で要介護の人を対象にした特別養護老人ホーム
・特養や老人保健施設よりも重い要介護者を受け入れる介護療養型医療施設(2017年度末で廃止されることになり、2024年3月末までの移行期間が設けられている)
・市区町村によって指定された事業者がその地域に住む人を対象に行う介護サービス
・要介護状態になった高齢者が地域の住民と交流を持ちながら介護支援を受けられる
・小規模で運営されるグループホームへの入居や介護職員による定期巡回サービスも受けられる
様々な介護サービスが実施されていますので、高齢者とその家族にとっては大きな手助けになりますね。
介護保険の利用者負担は?
介護保険の利用者負担は原則1割です。ただし一定以上の所得がある人の場合は2割(さらに多い人は3割)となります。
介護保険の支給限度額は?
介護保険制度では、利用者の要介護度によって下記のように毎月の支給限度額が設定されています。
- 要支援1:50,030円(1割の自己負担では5,003円)
- 要支援2:104,730円(1割の自己負担では10,473円)
- 要介護1:166,920円(1割の自己負担では16,692円)
- 要介護2:196,160円(1割の自己負担では19,616円)
- 要介護3:269,310円(1割の自己負担では26,931円)
- 要介護4:308,060円(1割の自己負担では30,806円)
- 要介護5:360,650円(1割の自己負担では36,065円)
支給限度額を超えても介護サービスは受けられますが、超過分は全て自己負担(利用者10割)になりますので注意しましょう。
介護保険の申請方法をまとめてみた
ここでは、介護保険の申請方法の大まかな流れを説明していきます。
- 要介護(要支援)認定申請書などの必要書類を提出する
- 介護認定調査の日程を調整する(希望の日時の設定)
- 市区町村の担当者やケアマネージャーによる訪問調査を受ける
- コンピュータによる分析の一次判定を行う
- 主治医の意見書やその他の書類で二次判定を行う
- 申請から30日間以内に要介護認定の通知が郵送で届く
地域包括支援センターや居宅介護支援事業者で要介護認定の申請代行もできますので、必要に応じて利用してみてください。
まとめ
介護保険制度の仕組みや加入対象者、介護保険サービスの詳細についておわかり頂けましたか?
高齢者の状態によっては、自宅に住みながらでも手厚い介護サービスを受けられる嬉しい存在です。
現在は核家族化が進んで高齢者を家庭だけで介護するのが難しい時代ですので、介護保険制度についてきちんと理解しておきましょう。
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